一草舎:消える小さな出版社 出したい本、まだあったが... /長野
今、気になっていることは「バイト先で、「チラシ置いていいですか?」の電話を各教...」ですがこんなニュースがあります。
◇信州にこだわり続けた「一草舎」??社長・高橋さんらスタッフ7人
「信州の本」にこだわり続けた社員ら7人の小さな出版社が、3月末で幕を閉じる。
長野市若里の「一草舎」。
不況による経営悪化と社長の高橋将人さん(61)の体調不良から、会社を解散することになった。
郷土の本作りに30年以上携わってきた高橋さんは「うちでなければ出せない本がまだまだあったが......」と無念さをのぞかせつつも、「読者にこれまでの恩返しをしたい」と話す。
同社は「さよならキャンペーン」として、県内の主な書店などで20日まで展示販売を実施中だ。
【大平明日香】
◇6年間で102点、大半が選定図書に
佐久市出身の高橋さんは、高校を卒業して東京都内の出版社に勤めた後、75年に「郷土出版社」(松本市)を創業。
長野や近県に関する本を出版してきた。
動脈瘤(りゅう)を患って療養生活に入り、02年に経営を譲った。
しかし4年間の療養中も、さまざまな本の企画や構想が浮かんだという。
「信州はいわば私の背骨。
未刊行のジャンルや企画がたくさんあり、信州が好きだからこそ、あんな本やこんな本を残したいという気持ちが強くなった」。
基礎資料になるからと、雑誌より単行本にもこだわった。
体の回復を待って04年2月、信州をテーマにした本だけを出版する「一草舎」をつくり、再び出版界に戻った。
「一人でもやってやるぞ」という気概を会社の名前に込めた。
以来、出版した書籍は計102点。
戦時中の信州の民衆の生活を描いた小説・随筆を集めた「文学作品に見る太平洋戦争と信州」。
数多い民話を地域別に集めた「信州の民話伝説集成」は、約6500部と最も売れた。
「椋鳩十未刊行作品集」など初めて編まれた貴重な本も多く、大半が日本図書館協会の選定図書に選ばれている。
だが出版不況の中、一草舎もここ2年で経営が急激に悪化した。
09年末、高橋さんは弁護士と話し合い、会社を任意整理して解散することにした。
自身も創業後に2度の長期入院、心臓にペースメーカーを入れるなど体は限界で、泣く泣くの決断だった。
未刊の単行本の企画は他の出版社に引き継ぐという。
正社員とパートなど総勢7人。
社員の井原羽八夏(はやか)さん(26)は「読者と距離の近いアットホームな会社でした」。
1月に解散を発表した後、読者約300人から手紙や電子メールが寄せられた。
「残念です」「郷土の文化の灯が一つ消える」。
中高年を中心に、続々と追加注文も舞い込んでいるという。
県出版協会には現在27の出版社が加盟している。
地元出版が盛んな信州だが、経営環境はやはり厳しい。
それでも高橋さんは「読書しなくなったと言われる若い人も、年を取れば『故郷の背景が知りたい』という思いがわくはずだ」。
郷土の本の必要性を今も痛感している。
さよならキャンペーンでは、一部で2割引きになる書店もある。
問い合わせは同社026・223・4700。
ホームページはhttp://homepage.mac.com/takashisa/issousya/index.html
3月9日朝刊
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最終更新:3月9日12時55分